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<<一部編集>>

今回はホームドラマ系をオススメ。 


『主夫のトモロー』  著者:朱川湊人  NHK出版

主夫のトモロー
朱川 湊人
NHK出版
2016-05-31



NHKが出版 て言うだけの感想で手に取った本です(笑) 読んでみたら意外に共感ものでした。

日本がまだまだ「主婦 」ならぬ「主夫 」に対して、定着・馴染み切れていない現実を少しユーモア交えて表してると感じられます。


ある日突然「失業」した主人公:トモロー(斉藤友郎)。交際中の彼女からは思わぬ提案が・・・。自分自身の夢や目標など色んな面で考え合わせると結果的に彼女の提案「結婚」を受け入れる事に。何事にも真剣に向き合って乗り越えていきながらも、世間からの「主夫」への視線やトモロー自身が抱える家事育児での葛藤(男性目線での気付き)など、主夫の苦難なども書かれています。懸命に愛情を注ぐ愛娘チーコちゃんとの日々、互いに信頼し合える素敵な夫婦仲など、読んでいてほっこりと感じさせられる内容です。


深刻な内容なのかと思いきや、意外と面白みがあちこちにありました。  
何といっても彼女(妻)の豪快さ、姉御肌的なところ。
こんなカップル(←死語?) 実際居てるだろうし頼もしいパートナーかも知れませんよ。

トモローの場合、働くか否かではなく「主夫」と言う道を選んだ事が、ある意味今の日本ではまだまだ少数派、斬新的と受け止められがちなことは間違いないですよね。

社会の中では「主(夫)」がどんな感じで見られているのか、特に育児世代の男性が「主夫」であった場合の困惑やジレンマ(?)など、女性からは見えにくい(気付きにくい)ことなどが少しユーモア的に書かれていたりもします。


読んでいて納得したり、『私もそーやったわぁ』と、育児に右往左往の頃を懐かしく思い出し・・・頷いて共感も。

主人公は「主夫:トモロー」なので。。。。
男性目線で綴られてる事もあって、日常の家事や子供の外遊びなど母親とは違う世界観で読むことのできる「家事育児ワールド」

読み甲斐あって面白いですよ。 


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じわじわ・・・・と 後からやってくるサスペンス系のオススメ本  

どんな人にも必ずある心の奥底に封じ込めてる「深層心理」 例え仲良しの友達だとしても、夫婦・親子であったとしても。
他人の心の奥深くなんて推し量る事すら難しくて。透明度ゼロに近い沼を覗いてる様なもの。
そんな深層心理にも絡んでる読み応え十分な本でしたよ。

「一気読み」必至。
(ただ内容はすごく重い系・・・)


『だからあなたは殺される』  著者:水生大海  光文社






 だからあなたは殺される
   タイトル見たら思わず『ドキッッッ』


親の事情で離れて暮らしていた兄と妹。兄は若手刑事で、包容力ありそうに見えるけど何処か小狡さ?したたかさもあり。一方、妹(現役女子高生)は、かなりの「おとな女子」 ちゃっかりしていてかなりキレッキレな頭脳派。今時の女子高生って言われればそうも思える。この兄妹がある事情から同居する事になり、それと平行して刑事の兄は殺人事件の捜査で多忙な日々に。時々妹の手(情報源etc)を借りたりしながら・・・。何故か妹の方が「刑事向いてるやん」って思えてしまうくらい(苦笑)
だけど・・・・殺害事件の被害者である女子高校生には・・・・。


序盤、家族ドラマみたいな出だしだったけど、事件の捜査と妹の存在と、それを取り巻いてる環境の中に色んな「どす黒いもの」が見え隠れ・・・・


それにしても、女子高生の情報網の広さ・早さ・正確さは侮っちゃアカンですね。
「連絡先交換」と言う手段の元にどんどん人脈広げていく その展開レベルは「世のサラリーマン」なんて遙かに越えちゃってるかも。
例え他校の生徒であってもどこかで誰かと繋がっている、現代版の名刺交換【SNS】 恐れ入ります。。。。笑

そりゃ~~~、本職「刑事」も頼りたくなりますわなぁ~

 ヽ(・ε・)人(・ε・)ノ ナカマ イェ----イ

そうは言っても刑事だけどね!


だけど中盤あたりページを繰る手が止まらんっっ(怖っ)
「殺人事件の真相」も気になるけど、それ以上に伏線チラチラ垣間見え出す兄妹間の何か奇妙な掛け違い?の様な感覚が、背筋凍らせてくるんですー ぞわぞわ・・・ぞわぞわ・・・。

う~~~~ん・・・・・不穏~~ 

  まさか?いや、まさかね??

犯人誰やと推理しつつ、それとは違う次元で心拍がバックバクー(苦笑)


もうひたすら一気読み。
衝撃なのはラストがブラックオチなとこ。

こわいーーーー!!!
   キョエ----ッッ


杉下右京なら。
『例えどんな事情であろうと
 殺害して良い理由などどこにもありませんよっ!』 
説教されるのがオチ

本筋の殺害事件にはもちろん驚きだけど、伏線その1その2が大きくなった先の結末、めーーーっちゃくちゃ衝撃。あまりに怒濤過ぎて(笑) 三度読み返ししましたわ 時系列、人物構図を再確認しながら・・・


ただ、タイトルの「だからあなたは殺される」
これには間違いなく頷けます。(右京さん ゴメンナサイ)

そりゃ殺されるっっちゅーの!!(純粋な感想)

秋の夜長にぜひ! 心臓に響くブラックサスペンスを。


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今日の【これ読んだよ】紹介。


 タイトル『余命二億円』 著者:周防 柳  角川書店


余命二億円 (角川文庫)
周防 柳
KADOKAWA
2019-03-23



家族間での「遺産」を巡る攻防戦(苦笑) 正しくは「遺産」と言うより「(仮)遺産」
切なかったり身につまされたり・・・。

何と言っても兄がマジで凄すぎ(笑)

『詐欺師はある意味、頭脳優秀で無いと務まらない』らしいですけど・・・ この兄は紙一重で近いものがあるかも。

騙すと言っても犯罪紛いでは無くて、相手を出し抜くための心理術?とにかく凄かったです。まぁ騙される側にもそれなりの事情がそこにあるわけですよね。


「時間と金の無駄」が口癖で超自己中心的、「チャレンジャー」な現実主義者の兄:一也。堅実で控えめで他人思いな優しい弟:次也。兄弟の父親がある事故をきっかけに「命の終わり」を迫られる事態になり、そこへ兄が持ちかける「遺産分配」話しで徐々に家族間に亀裂が・・・。まだ亡くなったわけではなく、これから先を話し合う段階での算盤勘定。それに追随して夫婦仲もこじれていく。一見「金の猛者」にも思える長男だけど、果たして真意はどこに??? 終末期医療・延命のあり方・介護への認識、今の日本が抱える医療・福祉の課題も、弁護士の巧みな話術で展開。弟:次也の目線で話が進んでいく家族物語です。


私の値段って、いくらの値が付くんでしょう。 確か生命保険が・・・、お時給から生涯賃金とか換算??


物語に出てくる兄弟は全く正反対の性格。
でもこう言うタイプの人(長男も次男も) どこにでも普通に居そうですよ たぶん。経歴とか云々はちょっと特殊な事情だとしても。

そして指南役みたいに出てくる弁護士:村上。飄々とした関西風な人、個人的に私はこの人が一番おもしろいと思いましたーーー(笑)
世の中を一番冷静に見てる!
心理読み解くのも得意そう。
それでいて算盤勘定長けすぎてて・・・実は最も「人の真の価値」を深いところで考えてる人なのかな~~、と。
だから弟:次也も村上の言葉には胡散臭がりながらも、ついつい納得してるんじゃないですかね。


「人の生きる価値」を見える形で表すとしたら「金額」が最もわかりやすいのかも知れません。
例えば賠償責任が発生したり、生命保険の受取額を考える際にもっとも重要視される土台は何なのか・・・とか。
対象者が未来に得るだろう資産価値。
存命していたらこれくらい稼いだり、金銭価値を生み出すのでは無かろうか、と。紛れもなく「人の価値」を金額化して表したデータベースの象徴。
私は主婦だけど、同じ主婦でもキャリアウーマンを生きてる人とでは恐らく査定額は歴然とした差が出るでしょ。(苦笑)
肝心なのは「〇〇かも知れない」と言う、誰も予測できない未来を金額化してるって事。未来なんて一寸先は闇~~。

弁護士:村上が掛けるある言葉に、思わずドキッとさせられある意味救われる感じもします(苦笑)

弟の次也が最後に気付く「人間の値段」 ニセモノでもなく、感情論度外視の法則でもなく、大切な何かに気付かされる様子には私も思わず頷いてしまいました。

そうなのかもしれない て。
まぁ一番心にしっくり来たのは甥っ子の湘くんですかねぇぇ。

父を生かすのか
逝かせるのか・・・・

究極の選択を迫られる兄弟はどんな決着迎えるのか、読んでみてくださいね。

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